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2025/12/01

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2025/12/01

【産婦人科医・中林正雄先生に聞く】妊娠前から知っておきたい、葉酸と栄養の大切な話

【産婦人科医・中林正雄先生に聞く】妊娠前から知っておきたい、葉酸と栄養の大切な話

「妊娠したら葉酸を摂った方がいいと聞くけど、なぜ?」「サプリメントは本当に必要?」など、妊娠を考え始めると、多くの女性が栄養に関するさまざまな情報に触れ、疑問や不安を抱えることでしょう。
今回は、長年、周産期医療の現場に立ち続けてこられた産婦人科医の中林正雄先生に、プレコンセプションケア(妊娠前からのケア)の重要性から、妊娠中に意識したい栄養素、家族のあり方まで、これから新しい命を育むすべての女性とそのご家族に知ってほしい大切なことについて、詳しくお話を伺いました。

なぜ「妊娠前」から「葉酸」が必要なのか

厚生労働省は、妊娠を計画している女性に対して、栄養補助食品から1日400μgの葉酸を摂取するよう推奨しています。
その理由をお聞かせください。

現代の若い女性は、食生活の変化から葉酸が多く含まれる緑の葉物野菜などを十分に摂取できていない傾向にあります。妊娠すると、胎児の細胞増殖が盛んになるため葉酸がより多く必要となりますが、食べ物に含まれる天然の葉酸(フォレート)は、実は消化・吸収の過程で効果が減少してしまうのです。
一方で、サプリメントなどの栄養補助食品に含まれる葉酸(フォリックアシッド)は、体内での利用効率が良いことがわかっています。食事だけで十分な量を確実に摂取するのは難しいため、吸収されやすい栄養補助食品で補うことが推奨されているのです。
ちなみに「400μg」という数値は、1990年代に欧米で行われた大規模な臨床試験の結果に基づいています。この試験により、妊娠可能な女性が一日あたり400μgの葉酸をサプリメントで摂取することで、神経管閉鎖障害のリスクを大幅に低減できることが科学的に証明されました。その結果、米国公衆衛生局などが推奨した400μgが一日あたりの葉酸摂取推奨量の世界的な標準となっています。

吸収率が違うのですね。

はい。そして、量と同じくらい重要なのが、葉酸を摂取するタイミングです。赤ちゃんの脳や脊髄といった中枢神経の原型(神経管)は、妊娠5〜6週頃にはすでに形成され始めます。これは、多くの女性がまだ妊娠に気づかない時期です。この神経管がきちんと閉鎖するために、葉酸は不可欠な栄養素なのです。神経管がうまく閉じないと、「神経管閉鎖障害」という、赤ちゃんの脳や脊髄に重い障害が残る病気につながることがあります。
つまり、妊娠がわかってから葉酸を摂り始めるのではなく、妊娠を考え始めた段階、少なくとも妊娠の1か月以上前から、吸収されやすい栄養補助食品で葉酸を補うことが非常に重要になります。

日本の神経管閉鎖障害の現状について教えてください。

日本の発生頻度は、欧米とほぼ同じで、およそ出生1,000人に対して1人の割合です。アメリカやカナダなどでは、小麦粉などの穀物製品に葉酸を添加することを法律で義務付けた結果、発症率が明らかに減少しました。日本ではこうした国の政策は行われていないため、ご自身で意識して葉酸を摂取することがより重要になります。

SNSなどでは「サプリメントより食品から摂るべき」という意見も見られます。

もちろん、すべての栄養素を食事から摂れるのが理想です。しかし、現実問題として、十分な量の葉酸を食事だけで安定的に摂取し、体内に吸収させるのは非常に難しいことがわかっています。理想論と現実論で言えば、ここはぜひ現実的に考えて、サプリメントなどを上手に活用していただきたいですね。
ただし、注意点もあります。たくさん摂れば良いというわけではなく、日本の食事摂取基準では1日の上限量が定められています。近年の研究では、葉酸の過剰摂取が子どもの喘息リスクを高める可能性も指摘されていますので、製品の表示をよく確認し、適量を守ることが大切です。

特に不足しがち、「ビタミンD」と「鉄」にも意識を

葉酸以外にも、妊娠中に特に意識したほうが良い栄養素はありますか?

はい。ビタミンDと鉄は、現代の女性にとって特に不足しがちな栄養素なので、積極的に摂取してほしいと思います。
ビタミンDは、日光を浴びることで体内でも作られますが、最近は日焼けを避ける方が多く、十分に生成されていないことが懸念されます。国の調査でも、妊娠中の女性の摂取量は目安を大幅に下回っているという結果が出ています。

鉄分も不足しがち、とよく聞きます。

その通りです。鉄は食品からの吸収率が悪く、意識しないとすぐに不足してしまいます。国の調査でも、18歳から49歳までの多くの女性が推奨量を満たしていないことがわかっています。諸外国では小麦粉などに鉄を添加する政策をとる国もありますが、日本では行われていません。そのため、自分で意識して摂取する必要があります。食事だけで補うのが不安な方は、サプリメントで補うのも良いでしょう。

「やせすぎ」のリスクと、妊娠前の体づくり

20代女性の5人に1人が「やせ(BMI18.5未満)」という現状があります。赤ちゃんへの影響で懸念点はありますか?

これは世界的に見ても非常に特殊で、大きな問題です。プレコンセプションケアの観点では、妊娠前のBMIは22前後が理想とされています。やせている女性が、妊娠してから急に食生活を根本的に変えるのは非常に難しく、結果として赤ちゃんに必要な栄養が十分に行き渡らない可能性があります。
お母さんが十分に栄養を摂れないと、お腹の赤ちゃんは「これから自分が生まれる世界は、食べ物が少ないのかもしれない」と判断し、少ないエネルギーで生きられる「節約型」の臓器を作ろうとします。

それが、将来の健康に影響するのですね。

その通りです。栄養が豊富な現代の日本に生まれてくると、その子の臓器は栄養を処理する能力が低くなる可能性があります。その結果、小学生や中学生といった若い頃から、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクが高まってしまうと考えられています。
赤ちゃんの生涯にわたる健康の土台は、実はお腹の中にいる時から作られています。ぜひ妊娠前から、ご自身の食生活を見直し、適切な体重を維持することを心がけてください。

家族のあり方と、これからの時代を生きる女性へ

最後に、これから妊娠・出産を迎える方々と、そのご家族へメッセージをお願いします。

これから妊娠を計画されている方、そして今、妊娠中の方にお伝えしたいのは、「いたずらに心配しすぎず、明るい気持ちで過ごしてほしい」ということです。お腹の赤ちゃんにとって、お母さんがリラックスして、ゆったりとした気持ちでいることが何より大切です。
そして、パートナーの方は体の変化がないため、親になる実感が湧きにくいものです。だからこそ、意識して関わることが大切。「健診どうだった?」と声をかけたり、超音波の映像を一緒に見たり。そうやって赤ちゃんの成長を共有することが、お母さんの安心につながり、本当の意味で「二人で育てる」第一歩となります。
さまざまなライフプランがある現代ですが、どんな選択をするにせよ、ご自身やパートナーと十分に話し合い、納得して決めることが大切です。正しい情報を得て、心穏やかに、ご自身の人生を歩んでいってほしいと願っています。

中林 正雄先生
中林 正雄 Nakabayashi Masao
母子愛育会総合母子保健センター所長

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。